今回、紹介するのは
『砂漠で梨をつくる』
(吉岡秀子著、朝日新聞社)
という本。
別に農業の本ではありません。
先日は、ローソンのマーケティングを担った、
野林徳行さんの新刊、
『とことん観察マーケティング』
という本を紹介しました。
ベストセラーにランクインしたそうです。
そのローソンの再建者といえば、
いまも社長を務める、
新浪剛史さん。
先日は楽天の三木谷浩史社長らとともに、
政府が組織した
「産業競争力会議」のメンバーにも
選ばれました。
日本を代表する経営者の1人ですね。
期待が集っています。
本書はその新浪社長へのインタビューを通し、
コンビニのローソンが飛躍するまでの
長い軌跡を紹介した本になっています。
ローソンというのは、
もともとダイエーがつくったコンビニです。
(原型はアメリカにあったそうですが)
ところが経営が立ち行かなくなり、
三菱商事が援助することになった。
新浪社長は、出向社長のような形で
降りてきたんですね。
覚悟を決め、三菱を退社して、
退路を断ってきた……といいます。
ところが入ってきたら、まさに大変。
表題のとおり、
会社の状態はまるで「砂漠」。
これを数年で、
梨が育つ豊かな農園にしなければならない。
まさに悪戦苦闘の連続だったんですね。
でも、砂漠を楽園に変えるならば、
とにかく水を撒き、土をもってきて、
耕していくしかない。
「当然やるべきこと」を
コツコツと積み上げていくしかないんです。
とくに新浪会長が力を注いだのは、
「教育」です。
さまざまな方法を模索し、お金も投資し、
また自分自身のコミュニケーションをも
変えるよう努力し、
「10年後」を見据え、
「言われたことしかしない社員」を
「自分の頭で考える社員」に変革していった。
まあその結果が、
現在、セブン-イレブンに次ぐ
業界2位のシェアにつながっているわけですね。
長く不況が続いている日本、
「今年こそは」と再生を図る会社も多い
……でしょうが、
この本には多くのヒントがある気がします!