明日には「賢者の会」で講義をしていただきます。
鬼塚忠さんの、
『花戦さ (角川文庫)』を紹介しましょう。
来年の映画化、
また8月のミュージカル上演に合わせ、
5月にKADOKAWAから
文庫版が発行になっています!
すでに「賢者の会」
「武士道を会得する会」では、
ミュージカルの鑑賞会を企画。
それに先だって、
6月26日の「第41回・賢者の会」では、
鬼塚忠さんをゲストに招き、
「映画化される小説の書き方」
という講義をしていただくことになりました。
さて、その『花戦さ』ですが、
言ってしまえば
「華道家による戦争」です。
ときは秀吉の全国統一が成し遂げられる頃。
主役は華道の家元・池坊の中興の祖、
池坊専好という人。
そしてもう1人は、
茶道の大成者である千利休ですね。
ちょうど昨日に読書会をした
『茶の本』にも関係しています。
「茶の湯」は、
基本的には静かな時間を共有するものですが、
茶室にはある種のメッセージを込めたりする。
床の間に飾る花は、
その重要な要素になったんですね。
たとえば『茶の本』には、こうあります。
「いらいらするような暑い夏の日に
茶室に招かれたなら、
あなたは床の間の暗い涼しさの中に、
たった一輪の百合の花が、
掛けられた花瓶に入れられているのを
見つけるかもしれません。
露に濡れたその花は、
人生の愚かさに微笑んでいるようにも見えます」
思想家でもあり、
また秀吉の参謀役も担った千利休は、
茶の湯の演出に、
「生け花」を大きく活用しました。
そこで池坊専好との
深い友情が生まれるわけです。
ともに道を追求する芸術家同士、
彼らは友となり、ライバルとなり、
互いの道で師匠と生徒の関係となる、
そうして己の追求する道を確立していきました。
しかしご存じのように、
千利休は、秀吉に切腹を命じられます。
そこで専好はどうするか?
武士に「武士道」があるように、
日本の芸術家たちは、
やはり自分の芸術に対し、
名誉と使命に命を賭けて戦ってきたんです。
だからこそ日本の芸術は
世界に誇れるものになりました。
本書はまさに、
そんな芸術家の命を賭けた戦いのあり方。
まさに花の道を追いかけた人間の
「花戦さ」なんですね。
日本人の心を知るために、
ぜひ読んでほしい小説です!
もちろんミュージカルや、映画もですよ。