「私のための晩餐会は不要です。
その費用はどうか貧しい人々のためにお使い下さい」
こちらはマザー・テレサが、
ノーベル平和章を受賞したときの言葉。
ハンセン病などの感染症に苦しむインドで、
心のケアなどの活動に力を注いだことが評価されての受賞でした。
それから半世紀、
新型コロナウィルスの流行によって、
再びインドが大変なことになっています。
1日の感染者が40万人を超え、
日本人も犠牲になりました。
病院も足らず、かなり大変なようですね。
☆
かつてのインドは、
それこそマザー・テレサが活躍した時代から
「感染症の宝庫」と呼ばれていたそうです。
ハンセン病のみならず、コレラに赤痢に、
マラリアにデング熱に結核に……と、
あらゆる感染症が存在している。
ガンジス川などを見ても、
決して「衛生環境がいい」とは言えなそうですものね。
媒介する虫なども
ジャングルにはたくさんいそうです。
でも、そういう「感染症大国」の環境を見直すよう
近年は努力して対策を練ってきたとのこと。
だからインドは現在、
「ワクチン製造大国」と言われるくらい
あらゆる感染症のワクチンを開発しているそうです。
新柄コロナウィルスに対しても、
アメリカやイギリス、中国などと並んで
逸早くワクチンを生み出していたんですね。
☆
ところが、
その「ワクチンがある」という安心感が、
今回の感染拡大を招いたそうです。
つまり、「感染を抑えていた」という認識で
ガンジス川のお祭りなどが始まってしまった。
「私たちはもう大丈夫」という感覚で、
集団が密になって沐浴をした。
その結果、「いままでの常識」では
抑えられない感染力を持つ変異株が
急速に広まったと考えられているそうです。
☆
これ、日本人もあながち、他人事じゃあないですよね。
大阪などで広がっているのも変異株と思いますが、
「これまで抑えてきたから、大丈夫だろう」
なんて感覚だと、
「いままでより強いウィルス」が来たときに
対応できない。
「つねに感染症は変化していく」と
いうことを頭に入れ、
たとえば経営者だったら
「少し増えてきたから、会社を休みにしよう」なんて、
臨機応変に判断することが重要になっているわけです。
☆
ちょっと我慢するだけで、
またすぐに状況が改善することもあるでしょう。
逆にクラスターなどが起こると、
かなりのマイナスを余儀なくされるかもしれません。
基本は本当にマザー・テレサの言葉どおり。
「誰のための仕事なんだ」とか
「誰のためのレジャーなんだ」という
根本に立ち返ることでしょうね。
[コロナ後の未来へ]