鳥獣戯画ワッペン、「カエル最強!」の謎

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刺繍の会社、株式会社ジー・トライの合田陽一社長が、
毎年、年末になると
来年の「刺繍ワッペン」を送ってくださいます。

楽しみにしているのですが、今年も来ました。
なんと「鳥獣戯画」ですね!
カエルとウサギが、
富士山の前でお相撲をとっている有名な構図。

このウサギとカエルが、
すべて刺繍でできているわけです。
かなり精巧ですよね。ありがとうございました!

説明によれば、カエルとウサギは、
「鳥獣戯画」が描かれた12〜13世紀の頃から
幸福のシンボルでもあったらしい。

カエルは、「お金がカエル」とか、
「幸運がカエル」という言葉に置き換えられるもの。

ウサギは「多産」の象徴であるとともに、
「兎」という字が「免」に似ているということで、
「災害を免れる」
という意味が込められたそうです。

そんな縁起物のワッペンですが、
いつも気になるのは、この「鳥獣戯画」の構図です。

カエルがウサギを投げ飛ばしている様子。
別場面で両者は一緒に猿を追いかけているので
仲間ではあるようです。

それでも相撲を取って、強さを競い合った。
結果はカエルの勝利で、
口から「気」みたいなものも吐いていますよね。

実は別場面ではカエルはウサギに
噛みついたりもしているんです。
反則……とはいえ、体格差がありますからね。
そこまでしてカエルを最強にする意味は、
何かあったのだろうか?

実は「鳥獣戯画」について、
あまり詳しいことはわかっていません。
何年か前に展覧会で実物を見た気がしますが、
平安末期に鳥羽僧正というお坊さんがオリジナルを描き、
それにのちの時代のお坊さんたちが
どんどん構造を描き足していったのではないかと言われます。

日本が生んだ漫画作品の元祖と言われるのですが、
お坊さんが描き、お寺で保管されてきた
……というのが重要なところ。
つまりは、仏教の教えを説くために使われたものと、
一般には考えられるわけです。

そのなかでカエルというのは、
お釈迦様が愛した蓮の葉に、よく乗っている動物。
つまり、ブッダの象徴のように
とらえられてもいたわけです。
種類もおそらくは、
水辺によくいるトノサマガエルですものね。

ならばカエル最強も、なんとなくわかる。
反則はいいのか? とも思いますが(笑)、
「鳥獣戯画」ではやはり最も目立つ動物で
なければならなかったわけです。

ともあれ来年こそは、
「日常がカエル年」になってほしいものです。

 

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