本日は私が読んだ本の紹介ですが、
こちら。
『わかりあえない他者と生きる』
(PHP新書)という本。
著者はマルクス・ガブリエルさん、という
新進気鋭のドイツの哲学者ですね。
なんでも29歳でボン大学の教授となり、
世界中でベストセラーを連発しているそうです。
今どき「哲学かよ」と驚くのですが、
むしろこんな時代だからこそ
「哲学」が必要なのかもしれませんね。
ITがつくりだす個々の現実感のないアイデンティ。
そしてコロナによる「リアル」の大規模な崩壊と、
コミュニケーションの断絶。
そんななか、
ようやくアフターコロナが迫ってきているわけですが、
今までの日常からどれだけのものが失われたのか?
気づきだして呆然としている方もいるかもしれません。
私もそうかなぁ……。
「私たちは常に、たえず互いを修正しています」
「社会的なジェスチャーをやりとりして、
他者がそこにいること、私たちが関心をもっていること、
耳を傾けていることなども示しています。
こういう方法で私たちはお互いにたえず、
他者の行動を変えているのです」
「たえず他者に訂正されなければ、
私たちは心を持つことさえできないということです。
他者から孤立すると頭がおかしくなるのは
そのためです」
結局そういうものが現在、
欠けている人が多くなっているのでしょうね。
摩擦、分断、差別、デマ、煽動……。
現実にコロナ禍で生まれた問題は
まだ世の中に大きく傷を残しているのでしょう。
むろん、それと別世界で
幸福感を満喫している方もいるでしょうが、
そうでない方はある種、
これから心を癒していくことも必要になります。
その点でガブリエルさんは、
「コロナ禍だからこそ、本当は限定した形で
社交を推奨すべきだった」と言っています。
今でいえば、たとえば「マスク」なども
よく考える必要があるかもしれません。
安全面からいえば、確かに外出時。
マスクはしていたほうがいい。
でも、そうすることによって私たちは目の前に壁をつくり、
自らコミュニケーションを制限していくこともまた、
事実であるわけです。
ならばいくつかの国のように、
ある程度の段階で「非マスク」を推奨することだって
本当は考えていいのではないか。
経済効果は間違いなくあるでしょうからね。
健全なコミュニケーションを戻す必要を
あらためて考えさせられる本です!