「英雄は生きて帰ってこなければならない」
こちらはウクライナ、ゼレンスキー大統領の言葉。
英雄とは、マリウポリの製鉄所で抵抗を続けていた
主にアゾフ大隊の人々に向けてのもの。
軍の総司令官としての命令、というか、
なかばお願いでもあったのでしょうね。
そのアゾフ大隊は、とうとう自決覚悟の抵抗を止め、
ロシア側に投稿を開始しているようです。
ご存じのように、この方たちについては、
ネット上でさまざまなことが言われます。
発端がウクライナ東部の親ロシア派に抵抗した
過激な民間組織であり、
自らナチスを名乗っていたことから
ロシアは彼らを「ネオナチ」と言い続けています。
ロシアが言う「大量虐殺行為」は
国連の調査でも判明していませんが、
殺人などの罪で逮捕された人物を出してきたことも事実。
現在は当時とメンバーも変わり、正式な軍に編成され、
日本の公安などもテロ組織という認定は外している。
それでもプロパガンダを含め
「悪事をしている」という噂はつねに立てられているわけです。
どこまでそれらが本当かはわかりません。
それでも長く民間人も大勢避難していた
マリウポリの製鉄所を死守し続け、
必死にメディアには
「せめて民間人だけでも助けてほしい」と
訴え続けていたわけです。
ようやく国連も入り、民間人の救出が始まった。
ニュース映像を見ましたが、
ロシアの兵隊たちの前に立ちふさがり、
必死になって民間人や国連の人々を守る壁になっていたのには
本当に頭が下がる気がしました。
そうして民間人を送り出し、
おそらくは皆、玉砕する覚悟だったのでしょう。
ところが、この「生きなさい!」という命令です。
殺されるかもしれない。
拷問されるかもしれない。
ロシア側のプロパガンダに利用されるかもしれない。
女性もいましたから、何をされるかわかったものじゃない。
それでも「生きること」の可能性にかけた選択。
なかなかできることではありませんよね。
過去のことはともかく、
素直に「お疲れさま。立派でしたよ」と誉めてあげたい。
あとはロシアですよねぇ……。
ウクライナは捕虜交換を要求しているのですが、
英雄を素直に返すのかどうか?
少なくとも自分たちの正義を主張するのであれば、
捕虜も公正に、丁重に、扱ってほしい。
善にしろ悪にしろ、彼らは生きて帰り、
あの製鉄所で起こったことを正しく伝えてもらいたいですね。
画像は平和なころのマリウポリの夜景。
美しい街が、本当にもったいないことです。