「世界で最もワクワクする景色を見せてやる!」
今からおよそ240年前に
弟に対してそう言ったのは、
フランスのアノネーという小さな町で製紙業を営んでいた
40代の男性です。
その名はジョセフ・ミシェル・モンゴルフィエ。
世界の空にはじめて、
気球を浮かべた方なんですね。
一般的にはよき協力者だった
弟のジャック・エティエンヌと合わせて
「モンゴルフィエ兄弟」と呼ばれます。
ただ、実際は16人兄弟だったそうな。
とにかくこの方、
洗濯物が焚き火の空気で舞い上がっている様子を見て、
「これで空が飛べるのではないか?」と、
突然に閃いたんですね。
「空からなら、スペインのジブラルタルにある要塞を
フランス軍が攻め落とせます」
そんな手紙を大真面目に政府に送るのですが、
もちろん相手にされません。
「40歳のオジサンが子供じゃあるまいし」
なんて周囲の人は思っていたでしょうが、
彼のワクワクは止まらなかったのです。
「空を飛べるんだぞ。こんな凄いことってあるかい!?」
研究を続け、兄弟たちを巻き込み、
製紙業の同業者にも声かけ、
とうとう巨大な気球を作ってしまう。
そして1783年の6月5日、
最初の「気球実験」が成功するんですね。
それで本日は「熱気球記念日」ということに
なっているのだそうです。
むろんジョセフさんの情熱は、
そんなことではまだ収まりません。
その年の9月には
羊とアヒルとニワトリを乗せた気球の
飛行に成功。
場所はヴェルサイユ宮殿で、
ルイ16世とマリーアントワネットも実験を見学したとか。
そして10月には見事、
弟のエティエンヌが乗った気球が
初の有人飛行にも成功したそうです。
ちなみに彼は別に、
この気球をビジネスにしようという発想はなく、
あくまで趣味。
一方で地道に製紙業は続け、
今でも「Canson」というこだわりの製紙業者として
事業を継続しているんですね。
祖先の創業から460年以上、
それもすごいことです。