8月15日、終戦記念日ですね。
今、現実にウクライナで戦争行なわれている中での終戦記念。
その意味では、平和を祈願するどんな言葉も、
なんとなく陳腐なものに思えてしまう。
何かしらできる自分にできることがないか……と、
行動を求められるような時代が来ていますね。
そんな一助になるのかどうか。
たまたま私も、
素晴らしい機会に恵まれたのだと思います。
ちょうど1ヶ月くらい後になりますが、
「戦争」を理解するための書として
世界中で最も読まれた古典。
カール・フォン・クラウゼヴィッツの
『戦争論』
を超訳する機会をいただきました。
『貞観政要』に続く、ウェッジさんのシリーズですね。
クラウゼヴィッツの『戦争論』。
かなり難解な本であり、日本語の訳も多くありません。
そして「平和」という言葉が軽はずみに思えてしまうほど、
厳しい現実を論じている本。
「戦争とは暴力以外の何ものでもない」という
言い訳を許さない事実から始まります。
彼が生きた19世紀、
「戦争」の意味は大きく変わりました。
それまでの戦争は、
多くの場合。王侯や貴族が領土を広げるために
行なわれていました。
それは「権力者による縄張り争い」に等しいもので、
規模も小さく、半ば形式化してもいたわけです。
ところがフランスで革命が起こり、
一国が軍隊を募り、強大化を目指すようになると、
戦争の規模は極大化していきます。
それこそ戦争は一国を滅ぼすほどの凶悪なものとなり、
巻き込まれる人間も、
何十万、何百万という大きな単位になっています。
2度の対戦を経た後でも、
その波は現在もまだ拡大し続けていますね。
クラウゼヴィッツはドイツの一部でしかなかった
「プロイセン」という国の軍人として、
ナポレオンが引き起こした巨大な戦争に巻き込まれます。
「平和でいたいんだ」という人間的な思いは、
侵略戦争を仕掛ける相手には通じない。
そして戦争に巻き込まれる以上、
敗北することは結局のところ、
多くの国民を不幸にする結果となってしまう。
その代わり現実の戦争をみれば、
こちらが弱小だろうが、決戦を回避し、
敗北を避ける手段はいくらでもあるわけです。
そのために彼は
「防御側有利」などの条件を徹底的に模索しました。
戦争のない世界を作るためには、
そもそも「戦争が何なのか」を私たちは知る必要がある。
本書は「平和っていいね」なんていう理想論を説く
ヒューマニズムに溢れる本ではありませんが、
「これまで現実に起こってきたこと」を知り、
「今、起こる可能性のあること」を予期するために。
日本人が読んでおくべき世界的名著であることは
間違いないと思います。
まあ、かなり苦労しましたが、
これほど読みやすくした本は、
後にも先にも存在しないのではないか。
画像はゲラの頭ですが、
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