「誰にでもできることでも、
最初にやろうとするには閃きと勇気が必要だ」
こちらはアメリカ大陸を発見した冒険者、
クリストファー・コロンブスの言葉ですね。
10月12日は、世界的に
「コロンブス・デー」と呼ばれる日。
1492年のこの日、初めて彼が
「サン・サルバドル島」に到着!
これがヨーロッパとアメリカがつながった瞬間でした。
まあ、彼は生涯、見つけた地が新大陸であることに
気づかなかったのですが……。
そんな日ですが、世界ではその定義が
国によって異なっています。
スペインやイタリア、あるいはアメリカの一部など、
素直に歴史的偉業が達成された日として、
お祝いをすることころもある。
一方で中米や南米諸国では、
西洋文明による侵略が始まった日として、
この日を大勢の犠牲者への追悼に当てているわけです。
そんな経緯がありますから、
コロンブスさん、という方の評価も
かなりマチマチではあります。
子供のころ、冒険に憧れた自分が
彼の伝記を無我夢中で読んだことがあります。
調べたら現代でも、やっぱり日本では
「コロンブス=偉人」の扱いで、
ちゃんと本が出ているんですね。
ただそれでも、最後まで自分の発見に気づかず、
信頼していた人たちを次々と失い、
失意と孤独の中で死んでいく彼の人生を
悲しく思ったものです。
実際、イタリアの航海者でありながら、
スペインの船乗りを率いて厳しい冒険に出た彼は、
つねに雇っている人間たちの欲望を
満たしてあげることばかり考えていました。
それが多くの略奪や現地人の殺害や暴行と、
現代では「犯罪行為」としか見なされない
悪行につながっていったわけです。
そんなふうに手を血で染めてしまった彼ですが、
「偉人」として扱われるのは、
やはり誰にも到達できなかった世界にチャレンジした
冒険への憧れを皆が感じるからでしょう。
『戦争論』でクラウゼヴィッツは、
「勇気」と「熱狂」を
理性をもって分けることを説いています。
見果てぬ夢を追いかける情熱をもつ一方で、
私たちにはそんな自分を
客観的に見る視点も必要になる。
偉大な後悔は、それを教えてくれた日と
歴史的にとらえられるべきなのでしょう。