ガンダムで描かれた戦争
- 2022/10/18
- できる人研究所
遅ればせながらになりますが、
今年の6月に公開されていた映画、
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を
アマゾンプライムで観ました。
私世代の人間には、まさにピンポイントな
リニューアルのガンダム映画ですね。
ガンダムは実を言うと今も続編が作られています。
女の子が主人公で、学園物語だったりと、
その昔に見ていた人間からは
ありえなくも思うのですが、
こちらの『ククルス・ドアンの島』は、
40年以上前に放送していた最初のシリーズの
たった1話をふくらませた作品。
物語にさほどの追加要素もなければ、
絵もほとんど昔のまま。
亡くなった声優さんに代わり、
新しい代役が立てられているくらい。
だから内容にも、今では考えられないような
おかしな演出があったりします。
たとえば平気でアムロが生身の兵士を
ガンダムで踏み潰すような描写は、
さすがに今はありえないでしょう……。
これが果たして今の若い人にウケるか
……といえば微妙ですが、
もう私たち世代に懐かしさを感じてもらうことに
振り切っているのでしょうかね。
あらためて映画を見ると、子供心に感じた
「ガンダムの中の戦争」がよみがえります。
アムロから見た敵側のパイロット、
ククルス・ドアンは脱走兵となり、
小さな島で戦災孤児たちをかくまって生活している。
そんな島が戦場になり、
アムロは敵を倒す任務と
子供たちを助ける正義感のはざまで
葛藤することになる……。
といって、子供の見るアニメとして
制作されたガンダムです。
さほど残酷な展開になるわけではありませんが、
当時から「ならなぜ、みんな
戦わなければならないのだろう?」という
疑問は投げかけているんですね。
特に主人公・アムロの行動に見られる矛盾は、
最後までガンダムというシリーズの
核心めいたものになっています。
にしても、
舞台になった島はカナリア諸島ですが、
敵側の本拠地が置かれていたのは、
ウクライナのオデーサです。
まさか戦争を予期していたわけではない
……と思うのですが、
ずいぶんとタイムリーな映画になりました。
現実の世界にも大勢いるだろう
ククルス・ドアンのような人に、
目を向けるきっかけになるといいですね。