バンティング博士と運命のコイン

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11月14日は、
「世界糖尿病デー」という記念日だそうです。
インスリンを発見した科学者、
カナダのフレデリック・バンティング博士の
誕生日にちなんでいるとのこと。

彼が生まれたのは1891年、
インスリンの発見は1921年のときでした。
つまり、30歳という年齢で
この偉業を成し遂げているんですね。

そもそも血液中の血糖値が高くなって起こる
糖尿病ですが、
その原因はずっと謎のままでした。

ただ、消化の際に分泌される何らかの物質が、
体内の血糖値を分解しているのではないか。
その物質の不足で、
糖尿病が起こっている可能性がある。

そんな折、バンティング博士は、
「膵臓の管が詰まると消化液が出なくなる」
という報告を雑誌で目にします。

すると逆に、管が詰まった膵臓であれば、
作用が起こる前の消化液そのものを
取り出せると考えたわけです。
その中には必ず、
糖分を処理している物質が含まれているはず。

そこで実験用の犬を使った実験で、
インスリンを取り出すことに成功したわけです。
実験された犬には申し訳なかったのですが、
その後、世界で大勢の糖尿病の患者さんが、
助かることになったんですね。

じつはバンティング博士、
医学の研究を志すも、経済的には豊かでなく、
軍医になったりして収入を得ていたとか。

そんな折に、北極調査隊の医師を依頼され、
悩んだそうです。
研究を選ぶか、就職を目指すか?

そこで最後はコインを投げて決め、
大学に残ることを決めたとか。
まだ20代のころでしたが、
これが人生の分岐点だったわけです。

32歳にして歴代最若年の
ノーベル生理学医学賞を受賞した
バンティング博士ですが、
運命は本当に気まぐれなもの。

50歳のときに飛行機の墜落で
帰らぬ人となってしまったんですね。

現代人の寿命を長くした功労者でありながら、
皮肉にも儚い人生に翻弄された、天才科学者。

彼の功績に対し、
いくつもの記念コインや記念メダルの賞が
のちに創設されました。
決して世の中が忘れてはいけない人なのでしょう。

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