無敵の「冬将軍」を破った者は?

毎週配信メルマガ「賢者の会」通信はこちら

しばらくぶりに夏川が訳した
超約版・戦争論』より。
1812年に行なわれた
ナポレオンのロシア戦役に対し、
同時代の軍人だった
クラウゼヴィッツの記述です。

「ロシアはナポレオンの遠征軍に対し、
側面から攻撃する別働隊を送った。
その意図は、軍の連絡線を断つことである。
結果、フランス軍は冬のロシアで飢餓に陥り、
騎兵を維持することもできなくなった。
これがフランス軍の撤退につながったのである」

圧倒的な強さで、フランスから南へは、
スペイン、イタリア、エジプトへ。
北へはドイツ、ポーランド、オースリアと
ヨーロッパを席巻したナポレオンの軍。

それがウクライナを含むロシアで
ストップすることになってしまう。
これが「冬将軍」と呼ばれるようになった
ロシアの厳しい冬の寒さ。
日本にも豪雪をもたらすシベリア気団の影響です。

単に「自然現象じゃないか?」と思うのですが、
ロシアも南から来た軍が、
これに足止めされることをよくわかっている。
だから侵略者に対しては時間稼ぎをして、
冬将軍をぶつけさせるわけです。

ナポレオンからおよそ200年後、
ナチスドイツもこれにやられることになりました。

現在のウクライナ戦争でも、
ロシアは撤退して時間稼ぎをしつつ、
ウクライナの発電施設を破壊し、
厳しい冬への対処で足止めさせようとしていると
言われます。
果たしてうまくいくのでしょうか?

じつはロシアの地に踏み込んだ軍を悩ませた
冬将軍でしたが、
これが通用しなかった軍勢が歴史上、
2例あります。

1つは東からやってきたモンゴル軍、
もう1つは1700年に大国ロシアに対し、
「大北方戦争」と呼ばれる戦役で勝利して
ヨーロッパ強国の仲間入りをしたスウェーデンです。

この2国が冬将軍を乗り切った理由は簡単で、
要するに自国がロシアよりも寒かったりするわけです。
だから、寒気にどう備え、どう対処するかもよくわかっていた。
冬の戦い方に関しては、
ロシアより1枚上手だったわけですね。

その意味では、じつのところウクライナというのも、
ロシアよりずっと古くから、
極寒の地で戦ってきた騎馬民族の末裔です。
コサック兵と呼ばれた戦士たちは、
当時はロシア兵の一部として
ナポレオンを退却させた一番の功労者でした。

すでに民衆ですら、薪を大量に確保している
ニュースも流れていました。
冬将軍はむしろ、
ウクライナに有利となるかもしれないですよね。

関連記事

ページ上部へ戻る