2023年早々ですが、
こちらウェッジさんから発売されている
私の現代語訳
『マキャベリの「君主論」』の重版が決まったようです。
3刷りか4刷りだったか。
嬉しいことですね。
奥付を見ると発行は2017年。
つい最近にやった仕事のようで、
もう、なんと6年目になっていたんですね。
それでも、ゆっくりゆっくりと売れ続けているのは、
古典の強さを感じます。
いい仕事ができました。
ただ、この本が売れ続けているということは、
日本がまだまだ不安定な時期にあるんだな
ということも感じます。
建前はいいから、強引にでも困難を突破しよう!
そんな空気が、
日本には起こっているのかもしれません。
時には卑劣な手段や策略を使ってまでも、
強固な国や組織を作る方法を説いているのが、
マキャベリの君主論。
その背景には、当時のイタリアの
混乱状態がありました。
マキャベリのいたフィレンツェは、
教皇を輩出する繁栄都市ではありますが、
規模は小さな町に過ぎません。
ヴェネチアやミラノなどと、
覇権を争っているような状態です。
そして周りを見れば、フランス、スペイン、
トルコ、ドイツ(神聖ローマ帝国)といった国が、
いつ攻めてきてもおかしくない状況に
あったわけです。
待ったなしの厳しい情勢が、
『君主論』のような名著を作り上げた。
その意味では、
今の世の中でマキャベリズムを実行しているのは、
国民から反感をかっているプーチン大統領よりも、
「正義の人」という顔で
国際的な人気者になりながらも、
こそっと爆撃ドローンをロシアの基地に送るような
エグい策をちゃんとやっている
ゼレンスキー大統領のほうかもしれません。
実際、「民衆からは慕われなさい」というのは、
マキャベリズムの大原則にもなっているわけです。
つまり、困難な状況にある時代や地域からは、
歴史的にも「優れた人物」や「優れた理論」、
「優れた書籍」が
生まれやすいということだと思います。
今年、2023年の日本が
そうなるかはわかりませんが、
読書の際の指標にしておくのはいいかもしれませんね。