夏川が読んだ本の紹介ですが、
やっと読むことがこちらの本。
なかなか衝撃的で面白いことが書いてあります。
『人類の起源』
(篠田謙一著、中公新書)という本。
著者は現在、国立科学博物館の
館長を務めている方ですね。
アフリカでアウトストラロピテクスという
人類の祖先が誕生してから現代に至るまで、
これまで科学史上では何度も定説が覆されてきました。
それはなかなか発見されない、
その昔の人類の化石が新発見されるたびに、
常識が変わってしまうから。
でも、そんな制約を現代科学は、越えてしまいました。
それは「DNAの解析」で、
進化の過程がわかってしまうこと。
世界中の骨から得た遺伝子情報を現代人と比べれば、
どことどこが進化上でつながり、
どの民族がどういうルーツで誕生したのかも
ある程度、わかってしまう。
本書はそんな研究で、
「今わかっていること」を網羅している本ですね。
すでにノーベル賞の研究でも話題になりましたが、
私たちのDNAには、
ネアンデルタール人に起源を持つものが
数パーセント混ざっています。
それどころか遺伝子を探求すると、
「デニソワ人」という正体不明の人類とも
私たちは混血していることがわかったわけです。
これは結構すごいことで、
たとえるなら「ロード・オブ・ザ・リング」って
ありますよね。
あそこには人類以外に、エルフとか、ドワーフとか、
人間以外の民族が出てきます。
過去にも人類史にはそういう時代があり、
ときには人間とネアンデルタールとか、
人間とデニソワが婚姻関係を持ち、
私たちはその子孫ということになっているわけです。
実際、デニソワ人の遺伝子を多く持つ人は、
コロナウィルスの副反応が起こりやすいと
医療的なデータも出ているらしい。
そんな人類史を読みと、
人種間で人を区別することがいかにバカバカしいかも
わかってきます。
本書では「日本人のルーツ」にも触れていますが、
私たちは決して特別な存在ではない。
広いアジアの仲間であることを
遺伝子はハッキリと示しているわけです。
これからのグローバル社会を生き抜くためにも、
本書の情報は、皆が知っておくべきことなのかな
……と思ったりします。