あらためて紹介する私の現代語訳書、
『超約版・戦争論』(ウェッジ刊)
……ですが、
そもそも著者のクラウゼビッツさんは、
当時まだドイツの小国に過ぎなかった
プロイセンの将校だった人です。
それがフランス革命後、
ヨーロッパ各国を占領しながら急速に拡大してきた
ナポレオンのフランス軍と対峙し、
コテンパンにやっつけられます。
そこで「弱者の戦い方」を研究の上、
理論化していくのですが、
本の内容からまとめていけば、こういうことになります。
①敵が弱体化するまでは、徹底的に防戦を続けること
②その間、仲間の士気が落ちないように、
励ましや鼓舞を続けていくこと
③その上で、たくさんの味方を作り、
その味方が裏切らないように、最善の努力をすること
結局、これを続けてきたのがウクライナ、
ゼレンスキー大統領だったのだな……と、
今回の広島サミットを見て思いましたね。
サミットについては、いろいろな味方があるのでしょう。
ただ、これだけ世界のVIPが相次いで、
広島の原爆資料館に入って行った……という光景は、
今まで見たことも想像したこともありませんでした。
私などは「やってもらえるものなんだな」とビックリしたくらい。
まんざら世界は捨てたものではない。
どの国のリーダーもちゃんと、
平和を望んではいるんでしょうね。
ゼレンスキー大統領が「ここに来る」というのは、
実は簡単なことではありません。
占領下にあるにもかかわらず、軍をなんとか制御して、
極力国内のみ、国境を超えたロシア人に
被害が及ばない戦い方を徹したこと。
本当はあるのでしょうが、拷問や処刑など、
戦争の負の部分が、自軍の所業として極力、
表立った問題にならないよう。軍の意思統制をし続けた。
その上でロシア兵に平和的な投降を呼びかけるなど、
効率が悪くても「人道的な戦い」をやろうとしてきた。
そうした出来上がったイメージがあるから、
ゼレンスキーさんが原爆資料館に来ることも、
広島の地に来ることも
違和感なく受け入れられるわけです。
実際、あれだけ「ロシアに勝つ」と
言っているにもかかわらずですよね。
会社であったり、あるいは公共のものだったり、
自分たちより大きな存在を動かそうとしている人は、
その「大きな存在」が喜ぶようなやり方で、
ことに臨んでいるだろうか?
「大きな存在」をガッカリさせ、引かせるようなことは、
していないだろうか?
平和は当分先といいながらも、実際、
今回のゼレンスキー大統領のサミット参加で、
アメリカの戦闘機が使用できることにより、
ウクライナ側は戦争を早く終結させられる可能性も出てきました、
戦略的にはかなり大きいでしょう。
別に戦争に賛成などはしませんが、
弱い私たちが強い相手と対峙するとき、
戦い方の参考になる要素はかなり学べる気がします。