本来なら日本人が発信すべきこと

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今、少し時間もできたということで、
自分のサイト内に私が携わった
「現代語訳古典」の特設ページを作ろうと、
あくせくしているところです。

9冊ありますし、すべてが
「どう読まれてきたか」だけで
歴史をも動かしてきた本。
なかなか簡単ではありません。
その出来上がりは楽しみにしてほしいのですが、
ちょっと時間はかかるかも。

そこで少し経過報告ですが、実は
岡倉天心さんによる『茶の本』の
「読みどころ」を記述した際に、
少し感慨にひたってしまいました。
全文を紹介しましょう。

「明治維新以後、日本人は西洋人に肩を並べ、
先進国とされていた彼らに認められようと
奮闘してきました。
武士の論理を西洋人に解き明かした『武士道』も、
究極的にはそのための書であったわけです」

「ところが岡倉天心は、
戦争に明け暮れてきた西洋文明を批判し、
あなたたちこそ『日本文化に学ぶべきだ』と主張します。
『もし文明国と呼ばれるための条件が、
身の毛もよだつ戦争による勝利によって
与えられるものであるなら、
私たちは喜んで『野蛮な国』のままでいましょう。
私たちの国の芸術や理想に敬意が払われる日まで、
日本人は喜んで待つつもりです』と」

「今も多くの日本人が気づいていない、
私たちの伝統の中にある究極的な平和思想。
それが『お茶を飲む』という、誰しもが毎日、
当たり前に行なっている習慣に秘められていること。
世界が混迷を極めている現在。
私たちは自らの長所を取り戻すためにも、
この古典に立ち戻るべきではないでしょうか」

この正義を貫くため、巨大なものにでも断固、
立ち向かおうとする言葉の強さ。

じつは同種のものを感じたのは。
いま、日本に来日しているIAEAの事務局長でした。
アルゼンチンの方のようですね。

その活動には賛否あるのでしょうが。
福島の汚水処理の状況を自ら現地に赴き、
状況を確認した上で
「最後まで行方を見続ける」と宣言し、
その日にロシアからの攻撃が心配されている
ウクライナの原子力発電所のことにも言及していました。

我々の職員は最後までこの原発に残って、
安全を守り続ける。
爆破は誰にもさせない……と。

原子力の平和利用を掲げた機関として、
やるべきことはすべてやる……というのは、
信念なのでしょうね。

日本が「蛮国」とされていた明治時代に、
先進国の侵している罪を堂々と告発し、
継承を慣らしてきた天心さん。

それを考えると、この混乱している世界の中で、
もっと我々がやるべきことは、
あるのではないかと感じてしまいます。

実際、日本は歴史上、核による攻撃を受けた唯一の国であり、
チェルノブイリのある現在のウクライナとともに、
空前の原理力発電所事故を
その身で体験している国です。

だからこそ言うべきことは、
世界にもっと発信すべきなのでしょう。

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