「ガマの穂」の魅力
- 2023/7/25
- できる人研究所
画像は亡き父の誕生日に
仏壇に飾ってあった花。
スーパーで買った仏花の割には、
なかなか粋だな……と思うのは、
真ん中「ガマの穂」ですよね。
この花だけど、花に見えない異物、
でも、なんとなくあるとアクセントになりますよね。
神聖な感じがする上に、
他の花を際立たせる存在になります。
一体誰がこれを生花とか、
切花に使おうと考えたのか……?
美しいものだけを使用するのでない。
この辺は実に、
「日本的な美の発想」という気がしますよね。
この「ガマの穂」、ひと昔の日本では
非常に「便利な植物」として
使用されたものでした。
何より「傷薬」として、
薬草の代表的な存在だったものです。
有名なのは「因幡の白ウサギ」ですが、
サメか、あるいはワニに
毛をむしり取られたウサギに対し、
「大国主の命」はガマの穂を処方するわけです。
傷薬として使われる以外に、
ふわふわの綿毛は、敷物の中身として
ずっと使用されました。
「蒲団」と書くと、
「蒲=がま」ですよね。
だから「気持ちのいいもの」の象徴として、
このふわふわの穂は考えられていたわけです。
他にも「蒲鉾=かまぼこ」も、
「蒲焼=かばやき」も、
出来上がりがこの穂の形に
似ていることからのネーミング。
都会の人はこの穂を見ることもほとんどありませんが、
日本人にとっては古くから生活に密着した
馴染みの植物でした。
それが仏花に使われる……というのは、
どこか子供の頃を思い出させる
ノスタルジア的な発想があるのかもしれません。
また機会を作って
どこかで野生で生えている光景を
見に行きたいものですね。