夏川現代語訳03 風姿花伝

●風姿花伝

著者 世阿弥
版元 致知出版社
ページ数 162
価格 本体1540円
リンク https://www.amazon.co.jp/dp/4800910633/

■著者紹介 世阿弥(1363‐1443)
室町時代の能役者であり、能の作者。
父、観阿弥の後を継ぎ、将軍・足利義満の支援のもと、能楽を大成させる。
『高砂』『井筒』『実盛』など数多くの能作品を残したとされるものの、将軍・義教の時代に迫害を受け、晩年に佐渡島へ流刑となる。
それでも現地で能を普及し、執筆活動を続けていた。

■本の概要 『風姿花伝』
本書が書かれたのは1400年のこと。
芸人という差別された身分から出発し、地位を掴んだ人間が書いた仕事論ということで、本書は日本史の中でも特異な書物と言える。
長らく「秘伝」とされていたが、明治時代に再発見されて世に知れることとなった。
能の理論書、というと一般人にはとっつきにくいが、仕事についての考え方や、「真似る=学ぶ」ことによる自己研鑽の方法など、本書には現代のビジネスに通ずる要素も多く含まれているため、ビジネスパーソン必読の書として多くの読者を獲得している。

■目次
第1 年来稽古条々……私たちは人生を通じ、どのように学んでいくべきか
第2 物学条々……学ぶべき対象を真剣に真似よ!
第3 問答条々……世阿弥が自ら答える、能についての素朴な疑問
第4 神儀に云わく……日本人の精神、「能の歴史」を紐解いてみる
第5 奥義に賛嘆して云わく……世阿弥が世にうったえる能の魅力
第6 花修に云わく……能を成功に導く、作品づくりと縁起の方法
第7 別紙口伝……人を魅惑し、運をも味方につける勝利法則

■本の読みどころ
「日本最古のビジネス書」と、本書の序文で私は『風姿花伝』を紹介していますが、注目してほしい要素は3つあります。
1つは「初心忘れるべからず」という言葉を生み出した書として知られるように、本書は「勉強の方法」を分析した書であるということ。「どのように初心者に教えるか」という観点から見れば、これは「マネジメントの書」ということにあり、どんな職種にも通ずる技術を極めるための心構えが本書にはあります。
2つ目は、「秘すれば花」という言葉で知られるように、本書は役者として「自分をどのように魅せるか」という方法論を大きく紹介しています。ここには「お客さんの心理をつかむ術」も含まれますが、現代のプレゼンやセールスにも大きく役立つものとなるでしょう。
3つ目としてさらに世阿弥は、能の最終的な目的を「お客様を喜ばすこと」に掲げており、そのために自分がどのように変化していくべきか、まさに仕事の本質や、生き方の指南にも言及していることを忘れてはいけません。
だからこそ能と関係なく、すべてのビジネスパーソンに、私たちの大先輩が書いてくれた名著を味わってほしく思います。

☆目次へ戻る

関連記事

ページ上部へ戻る