毎週配信メルマガ「賢者の会」通信はこちら

「争いのもととなる悪口は、これを禁止する。
重大な悪口は流罪とし、軽い場合でも牢に入れる。
さらに裁判中に相手の悪口をいった者は、
直ちにその者の負けとする」

ネットでの誹謗中傷が問題になっている現在、
この法律が、今から800年くらい前に定められたというのは、
「基本がわかっていたんだな」と思ってしまいます。

こちらは鎌倉時代に初めて定められた、
「武士のルール」。
『御成敗式目』の1条項。
8月27日はこれが制定された記念日で、
1232年のことだそうです。

この法律の制定者、
3代目執権の北条泰時さんは、
昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも
登場しています。

父・義時は、平和な時代を築くため、
ライバルたちをことごとく排除していく
強行的なリーダーとして君臨しました。

しかし平和が訪れた今、
二度と世の中を戦乱の時代に戻してはならない。

そこで「武士(守護)=正義の執行者」として、
正式なルールを定め、
ここで「日本における武士」の役割を
明確にしたわけです。

悪口がゆるされないくらいですから、
当然ながら殺人はもちろん、弱い者いじめは認めない。

あくまで武士は治安を維持し、
民衆の安全を守るための存在と定義化され、
身内で無用な争いを続け、
国の財産である農民たちを私情で傷つけた者は、
厳しく罰されることになったわけです。

とはいえ、戦が続くその後で、
「正義の執行者=武士」というルールは
単なる建前にもなっていきますが、
それでも平和な時代が来るたびに見直され
やがて江戸時代には、
この前提が「武士道」と呼ばれるものの
元になっていくわけです。

そんな「最初の武士道の基盤」を作った
北条泰時さん、
バイブルにしたのが私が現代語訳している
貞観政要』だったとされています。

ですから私もたびたび、
この法律に触れているわけですが、
『貞観政要』はまさしく、
正義の実行者であるリーダーがやるべきことを
実例を踏まえながら考察している書。

やはり平和な時代の創建者となった
徳川家康も重んじていますが、
実のところ日本のリーダー哲学にも
重要な役割を果たしているんですね。

こちらでは夏川も、
この本について語っていたりします(笑)

関連記事

ページ上部へ戻る