「精霊」に出会った瞬間
- 2023/8/28
- できる人研究所
先日、家の近くを歩いていたら、
キリキリとけたたましい音がして
何かが顔の辺りに飛んできました。
慌ててふりはらって、飛んできたものを見ると、
東京の港区ではあまり遭遇しない、
この子がいました。
ショウリョウバッタ……ですね。
細長い体で、
まるで植物の一部のような全身。
同じバッタのトノサマバッタより
ずっとスマートな体型をしています。
子どもの頃、長野県の田舎に行ったときは
大量に捕まえた気がします。
東京の緑が少ない環境のせいか、
緑色でなく、茶色をしていますが、
それでも15センチくらいあるだろうか……。
東京でも自然の多いところとはいえ、
まだこのくらいのデカい個体が
ちゃんと生息しているんですね。
でも、よく考えると「トノサマ」に対峙している
「ショウリョウ」とは何なのだろう?
さすがにこの大きさで
「少量バッタ」はないだろうと思いますから、
やはり見た目的に植物に由来するのだろう。
「菖蒲(しょうぶ)」に近いものから
名付けているのだろうと思っていました。
そうではないんですね。
「ショウリョウ=精霊」。
つまり「精霊のバッタ」という
スピリチュアルな名がついているのが、
この子なんです。
最初に出会った人は、
妖精とでも思ったのだろうか……?
もちろん、日本にそんな
ケルト人のような発想もありません。
じつは8月のお盆の季節、
……まさしく今頃なのですが、
「精霊流し」のころに姿を見せるということで
この名前がついているのだそうです。
よく見ると長細いですが、
「船」のような形をしています。
蝋燭の火を灯して川に流す、
あの「精霊流し」の舟に、
昔の人はこのバッタを見立てたんですね。
それだけでなく、生物に見えない不思議な外観に、
カマキリやトノサマバッタと比べても
大人しく優しいイメージのある、この昆虫。
「精霊」の名前がつくには、
ふさわしいのかもしれません。
東京の環境は決して棲みやすくないかもしれませんが、
長く繁殖してほしいですね。