賢者の言葉19 「君子は義にさとり、小人は利にさとる」

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「君子は義にさとり、小人は利にさとる」

器の大きい人間は、
本来の理想や目標のために仕事をしているのに対し、
器の小さい人間は、
ただ己の利益のために仕事をしている

こちらは私の本、
『君はこの言葉を知っているか?』に収録した
孔子の言葉。
渋沢栄一が人生の指針とした言葉とされています。

このところ、いろんな企業が起こしている問題は、
ことごとく、この言葉に集約されますよね。

車を愛する人に貢献するはずの企業が、
利益を稼ぐために自ら車をぶっ壊してどうするんだ。
人を喜ばせるエンターテイメント企業が、
己の欲望のために、何百人もの男の子たちを
傷つけてどうするんだ……。
みんな大きな「理想」や「目標」が
どこかに行ってしまっているわけです。

そんな現代にも指針すべき言葉を、
今から2500年以上も前に述べていた孔子。
じつは9月28日は、
その誕生日とされる日だそうです。
画像はお茶の水の「湯島聖堂」にある像。

むろん紀元前のことですから、
はっきりしたことはわかりません。
ただ記録から推測すると、誕生は紀元前552年で、
今年で生誕2575年になるそうです。

孔子というのは、実際のところ
生きているときは不遇の人生を歩んだ方です。

むろん、弟子は大勢いたのですが、
当時の中国にたくさんあった国家からは、
とことん無視されました。

それはそうで、当時の中国は、
春秋戦国時代と言われた、戦乱の時代。
どこの国も国土を守り、領土を拡張するため、
戦争を繰り返しています。

そんな中で、
「君主の役目は戦争をすることではない。
民衆を幸福にすることだ」なんていう
理想論の思想家が来ても、
邪魔にしかならないわけです。
実際、中国を統一した秦の始皇帝は、
「焚書坑儒」といって
儒学書を焼き、儒学者を迫害することもしています。

それでも孔子は自分の考えを曲げず、
弟子たちも君主の理想を強調し続けました。

だから何年もの歳月が経ち、
中国の国土がある程度統一され、
平和が理想になってくると儒学は皇帝の哲学として
重く用いられるようになったわけです。

自分のやっていることが、
何年ものちに人に評価されたとき、
果たして「正しいことをしている」と
誇りをもって言えるのか?

孔子さんが問いかけたことは、
永遠に私たちにとっての課題になりそうですね。

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