「生かす論理」と「殺す論理」
- 2023/10/26
- できる人研究所
最近、ニュースを見ていると、
どこでも“この子たち”の話題が
尽きない感じになっています。
熊……の話ですね。
今年はすでに熊による被害が最悪になっており、
北海道や東北では駆除も進んでいます。
秋田ではすでに1000匹以上が、
駆除されたという話も……。
そんなに殺して大丈夫なんだろうか?
実は日本において「熊」というのは、
必ずしも「絶命危惧種」というわけではありません。
日本には北海道にヒグマ、
本州にツキノワグマがいますが、
どちらも個体数は安定していると「言われている」。
でも一方では、九州や四国など、
ほとんど絶滅的寸前になっているということで、
保護の対象になっている区域もあります。
北海道の知床などもそうですね。
そういえば自然公園で熊の親子を見て、
感動した思い出が私にもありました……。
いくつかの地域で熊が絶命したのは、
ほぼ人が殺したから。
日本には人よりも強い“猛獣”が2種類いたのですが、
一方の「狼」はすでに絶滅しています。
では、「熊」はどうすべきなのか?
じつは「熊が増えている」という話もありますが、
最近になって変わったのは、個体数のつかみ方です。
その昔は「山で熊を見た」という調査報告から、
個体数を見積もっていたのですが、
今はあちこちにセンサーを仕掛けて、
そこを通った熊の数から概算をしているとか。
「同じ熊が何度もセンサーに反応しているのでは?」
と素直に思いますが、
実質、熊の見積個体数は何倍にもなり、
それにともなって駆除の対象数も
何倍に増えているようです。
これはかなり怪しいですよね。
もちろん、人里に現れた熊を
安全のために駆除するのは仕方ないのでしょう。
ただ、冬眠中の熊を山で探してわざわざ殺したり、
子熊を見つけては殺していくようなことをしたりする
必要があるかは疑問に感じます。
生態系の話をすれば、
すでに人間様がかなりぶっ壊している日本の自然です。
今さら熊が絶滅したところで、
自然環境が変わるわけではない。
人間のリスクゼロにするために、
危険な動物は一掃すべきではないかという
考え方もあるのでしょう。
でもそれは、
「〇〇民族がムカつくから殺しましょう」といった
ナチスやらテロリストやらと
変わらなくなってしまうのでは?
熊というのは、調査では1匹が23区を全部歩き回るくらい、
行動範囲が広いそうです。
それで人間との接触リスクが増えているのは、
人間側が生息地を狭めている問題もあるのでしょう。
旱魃や洪水など、今年は自然環境も大いに荒れました。
人を殺める一方で、
くまモンやプーさんではありませんが、
アイドルとして“癒し”を与えてきた自然遺産が、
この日本最大の猛獣です。
でも、その生息環境はさらに変化し、
これからも私たちとの接触は続くのでしょう。
生かすべきか殺すべきか?
守るなら、どのように守るのか?
一方で被害に遭わないよう、人をどのように守るのか?
何よりもっと、熊の世界で起こっていることを
私たちは知るべきでは?
そのためには研究や調査に、どのような投資をすべきなのか?
もっと大きな視点から皆で議論すべき段階に、
今は来ているのかもしれませんね。