「好調なときに、『いつかはダメになる、
こんなことが長く続くわけがない』と
恐れおののく力が会社の力だと思う」
私も出版が好況だった時代に、
ちゃんとこんなふうに認識していれば、
現状も変わっていたのかもしれないな……なんて
思うのですが(苦笑)
こちらは12日に80歳で世を去っていたそうです。
「100円ショップダイソー」の生みの親、
「大創産業」の創業者である
矢野博丈さんの言葉ですね。
私が書いてきたビジネス書でも、
たびたび矢野さんは登場してきたと思います。
「100円ショップ」という
業界を立ち上げたイノベーションの体現者。
すごい経営者なのですが、励みになるのが、
「転職8回、火事、詐欺、夜逃げ1回」と、
失敗を何度も繰り返していたこと。
実際、大成功しているダイソーにしても、
「こんな会社すぐ潰れる」なんて
いつも言っていたそうです。
それくらい世の中は移り変わるし、
事業は「いいとき」と「悪いとき」を
繰り返すのが当たり前のこと。
だから業績が悪くなったら、
「もうダメだー」なんて自暴自棄にならず、
「仕方ない」と割り切って、
落ち着いて対処しながら、
再生を待ち続けることが大事だというんですね。
実際、100円ショップの成功だって、
「たまたま」だったそうです。
70年代から80年代、
さまざまな業種で何度も失敗したあと、
移動販売の、いわゆる「バッタ屋」という形で
100円ショップの元のような商売を
始めた矢野さん。
それはそれでお客さんもやって来ていたのですが、
「安物買いの銭失い」だよね〜なんて、
お客さんは満足することが少ない。
そのころに100円で売っていたものなんて、
「たかが知れている」というのが常識だったわけです。
ならばと、矢野さんは採算度外視で、
「これ、100円なの?」と、
お客さんが驚くような商品を開発し続けたとか。
それがいつのまにか、
規模の大きさで利益を稼げるようになり、
現在の100円ショップが誕生したわけです。
今は日本の名物にまで、なっていますよね。
物価高、給料が上がらない……という社会構造の中で、
こんなふうに「安くいいものを」で成り立ってしまう
ビジネスを生み出してしまうのは、
日本のいいところなのか、悪いところなのか。
でも、「チャンスはどこにだって必ずある」
という考え方は、
私たち忘れてはいけないですよね。
諦めずに試行錯誤を繰り返していきましょう!