黒歴史だからこそ明るく受け止める

先日、NHKでは珍しく、
大谷選手が所属しているドジャーズの試合ではなく、
日本人選手が出ていない
サンフランシスコ・ジャイアンツvs.
セントルイス・カージナルスの試合が
放映されていました。

一体何だろう? と注目すると、
アラバマ州のリックウッド・フィールドで行なわれた
「ニグロ・リーグ」に対する表敬試合とのこと。

この野球場は
「アメリカ最古の野球場」として知られますが、
メジャーリーグの試合が行なわれたのは初めて。
アメリカにおいてはそれくらいの
歴史的なイベントでもあったわけですね。

そもそも「ニグロ・リーグ」とは、
いったい何なのか?

アメリカでは1860年代から
プロのメジャーリーグが始まったそうですが、
リンカーン大統領が奴隷解放宣言を行なったのは
1863年のこと。

つまり、ようやく黒人たちは
「人権を認められた」という段階で、
差別の撤廃とは程遠かったわけです。
プロの野球選手になるなんて、とんでもない話でした。

それでも黒人たちだって、
身体能力は高いことを証明したい。
それで黒人たちだけのアマチュアリーグをつくり、
練習試合でいいから、
プロのチームと戦ってみたい……と。
そんな動きが、
19世紀末には出てきたんですね。

これが意外に好評で、
「うちでも、うちでも!」と
有志の黒人たちがアメリカの各州で
野球チームをつくり始めます。

これらチームが組織化され、
1920年には「ニグロリーグ」という
公式のメジャーリーグとは別の
「黒人のみの野球リーグ」がアメリカに誕生しました、
7つのリーグがあり、ちゃんとワールドシリーズ、
つまり優勝決定戦も行なわれたそうですね。

やがて画期的なことが起こります。
1947年にドジャーズが、
ニグロリーグ選手だったジャッキー・ロビンソンさんと
正式に契約。
彼を初の黒人メジャーリーグ選手として
デビューさせたんですね。

ロビンソンさんが大活躍すると、
メジャーの各チームは、戦力を補強しようと
黒人リーグの選手たちと契約を進めるようになります。

やがて多くの黒人たちがメジャーにデビューすることになり、
「ニグロリーグ」の意味はなくなり、
やがて解散することになったわけです。

人種差別が生んだ歴史的な経緯。
しかしメジャーでは
ニグロリーグで活躍した選手を讃えるとともに、
その記録をメジャーのほうに移行することも
行なわれているそうです。

それは差別によって現在も分断があることの
裏返しなのでしょうが、
「闇歴史の部分」にきちんと向き合い、
正そうと努力する姿勢は見習うべきなのでしょう。

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