知らなかった「桃と父親」の意外な話

毎週配信メルマガ「賢者の会」通信はこちら

「EURO2024」がスペインの優勝に終わり、
ようやく夜更かしから解放されそうですが、
世の中ではいろんなことがあり、騒然としています。

その辺の話はともかくとして、
7月15日は亡き父親の誕生日でした。

遠方でお墓参りもなかなかできていない最近、
せめて仏壇に何か備えようと、
母親に意見を聞くと、
「桃を買ってきてほしい」とのこと。

「あれっ? 桃が好きだったんだっけ?」
「好きってほどじゃないけど、
この時期に思い出があって……」

どんな思い出なのか聞くと、
厳しかった父親の
意外な側面を知ることができました。

それは父が大手ゼネコンの役員だったときの話。
大手ゼネコンとはいえ、当時はバブルも崩壊したのち。

多くの会社がリストラクチャーを余儀なくされ、
父の会社も組織改変と事業再生の
真っ最中にありました。

そこで役員だった父は、
社員の削減を任させることになったそうです。
つまり部下たちを呼び出しては、
解雇をお願いする嫌な仕事をすることになったんですね。

むろん、話し合いながら穏やかに
……だったのでしょうが、
息子からすれば冷たい人間に見えていた父。
でも、内心は苦しんでいたようで、
ストレスで胃に穴が開いてしまったそうなのです。

しばらく父は食べ物を胃が受けつけなくなってしまった。
そうして病人に通ったあと、
少し回復したのか
ポツリと「桃が食べたい」と言ったとか。

ふだん果物など、ほとんど食べない父でした。
母は珍しいなと思ったのですが、
「それなら食べられそうだから……」と。

で、7月の誕生日のころ、買ってきた桃を
それはそれは美味しそうに食べていたんだそうです。

やがて父は自身も会社を退職し、
小さな仕事を転々としたあとで、
80歳を前に亡くなりました。

役員がキャリアのピークだったのですが、
部下たちに嫌な思いをさせる管理職よりも、
アルバイトでも皆に喜ばれる仕事をするほう
よっぽど楽しかったのだろうなと思いますね。

まあ、今は向こうの世界で桃を堪能にしてもらい、
のちのちは私が食べて癒されるようにしましょう!

関連記事

ページ上部へ戻る