皆が本を読む時代は、再びめぐってくるのか?

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久々、夏川が読んだ本の紹介ですが、
今非常に売れている、この本。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
(三宅香帆著、集英社)
というもの。

単に今の世相を切るような内容ではありません。
明治以後のベストセラー史を振り返りながら、
とくにビジネスパーソンと「読書」の関わりの変化を
深く検証した本。

30年以上、ビジネス書や自己啓発書に関わってきた私は、
「なるほど、そうだったなぁ……」と、
過去を思い出しながら読むことができました。

私が独立した20年前でも、
本の仕事をすることで、今より4倍か5倍くらい
売上を稼ぐことができた出版の世界です。

今、世の中で出ている本の質が、
そのころに比べて落ちたということは、
まったくありません。

今でも当時と関わらないどころか、
出版に携わっている私は、周りの方々を見て、
ライティングのレベルも編集者のレベルも、
ずっと高くなっているのではないかと
本気で思うくらい。

ただ、その昔は、
「本を読むことで自分を成長させたい」と
考える人が大勢いた。
「本を読むことで賢くなりたい」と
願う人が大勢いた。
「本を読むことで癒されたい」と
思う人が大勢いた。

今、そうしたニーズの多くは他メディアに流れ、
また、情報社会の中で、
ニーズとして求められなくなっている。

何年も前、私は
『なぜ仕事ができる人は効率を無視するのか?』で、
広く読者をすることで、
「自分が知らなかった知識」にアクセスする
必要性を説きました。

しかし今の世の中は「自分にとって必要のない知識」を、
ほとんど必要としない社会になっている。
だから本屋にも行かないし、本を読む必要もない。
スマホが1つあれば、それでいい……と。

悲しいことに「読者」というのは、
ニッチ層な趣味の1つに近づいているわけです。

ただ、本書を読むと、
世の中で「読書離れ」が起こったのは、
決して今に限ったことではないのに気づきます。

過去に何度も人は本から一度離れ、
それでも再び戻ってきた。
だから決して、
「出版人は諦めるべきではないんだろうな」
ということも感じます。

何より、
「この本が結構売れている」という事実に、
出版がまだ捨てたものでないことを感じますよね。

あとは今のニーズ少しでも動かすために
どんな企画が考えられるか?

固定観念を捨て、
いろんな本の形も考慮しながら、
あらゆる角度から皆の要望に応えていく。
私も一生懸命に考えていきたいです。

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