「リンゴの歌」の秘密

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1人より2人、2人よりみんな。
大勢で歌うから、楽しくなる……。

正確な歌詞は掲載していませんが、
1945年に発売された「リンゴの唄」より。

赤いリンゴにくちびる寄せて……で、
始まる有名な歌ですね。
日本における戦後のヒット曲、第1号になりました。

じつは10月11日は、
「リンゴの唄」の記念日だとのこと。

この映画が挿入歌として使用された
『そよかぜ』という映画が、
戦後映画の第1号として
公開された日なんだそうですね。

作詞は佐藤ハチローさん、作曲は万丈目正さん。
歌っていたのは映画で主演した、
女優の並木路子さん。

曲は映画の枠を超え、大ヒットしました。

この歌が皆に愛された背景には、
戦争の終結によって打ちひしがれた人々に、
希望や勇気を与えたからでしょう。

焼け野原になった日本にあって、
皆を「もう一度、頑張ろう」という
気持ちにさせたんですね。

ただ、そういう気持ちで歌うために
並木さんは何度も何度も繰り返し、
歌い直さなければならなかったそうです。

なんせ自身も東京大空襲を経験し、
両親や兄弟を失ったばかり。
自分は隅田川に飛び込んで
なんとか助かったそうですが、
大勢の人々の死を前にして
精神も不安定な状態だったとか。

それでも作曲者に励まされ、
私のように辛い気持ちの人々のために歌うんだ……と、
精一杯に明るく歌ったんですね。

大きな悲しみを知っているからこそ、
人の悲しみも癒すことができる。

苦しいときこそ、
「自分と同じように苦しい人」に
思いを寄せることは大切なのかもしれません。

すでに78年の歳月が流れていますが、
いつでも普遍的に、
思いは私たちの心を癒やしてくれます。

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