「ぼくたちのしてきたことが、
少しずつでもこの世界を変えてきた!
もっと考えて、もっと行動すれば
もっともっと変わると思う!!」
こちらは漫画『漂流教室』より。
その昔は、
「こんな作品も描くんだ」と
妙に感動したことがありましたが、
漫画家の楳図かずおさん、
88歳の人生を閉じたそうです。
お疲れ様でした、ですね。
私が小学生の頃は、それこそ
『まことちゃん』の全盛期でした。
もはや知らない世代の方が多いのでしょうが、
それこそ当時は皆が「グワシ」とか言っていた。
でも、この鼻水を垂らした子どもの
シュールなギャグ漫画が日本を席巻していたのは、
不思議な話ですよね。
ただ、一方で『まことちゃん』を描きながら、
一方でおどろおどろしい恐怖漫画を描く楳図先生を
恐ろしく感じていた記憶があります。
でも、その存在の恐ろしさを知ったのは、
大人になり、就職してから。
じつは出版の会社に入り、
当時、印刷の主流になっていた電算写植の書体に
「ウメール」というのがあったんですね。
権利関係がどうなっていたのか知りませんが、
たぶん「楳図かずお」さん風の書体。
なるほど、確かにそんな感じの文字を描いてましたが、
この書体を果たして、どんなシチュエーションで
使えばいいのか?
でも編集者として、
「いつか使ってみたい」などと思いながら、
長い月日が経ち、
写植の時代は終焉を迎えてしまいましたね。
それでも検索したら、
タイプフェイスのフォントが出てきましたが(笑)
要するにそれだけ、
楳図さんの領域に達するのは
難しいことなのでしょう。
今は出版業界も変わり、
あれだけ自由に生きられる創作者というのは、
なかなか出づらくなった。
でも、作品が文化をつくり、流行やライフスタイル、
周辺業界までを変えてしまうことは
確実にあるわけです。
楳図さんを思い出すたび、
私たち編集に携わる人間は、異才の発掘の重要性を
やはり意識しなくてはいけないですね。