「メダカは鯨にのみ込まれてしまうが、
蚊であれば空高く舞い上がることができる」
こちらは25日に94歳で亡くなった
スズキの元会長、鈴木修さんの言葉。
鯨というのはアメリカのGMですが、
日本の町工場でありながら、巨大会社と提携し、
自動車業界にあって
独自の地位を築き上げました。
同じことをやっていたのでは、
小さな会社は大きな会社に飲みこまれるだけ。
「向こうは泳げるけど、こっちは飛べる」
なんていうふうに、自分たちの強みを
徹底的に磨き上げる。
そうすることによって、弱者だって立派に、
規模の大きな相手に対抗していくことが
できるわけです。
とくに今年などは、私も弱者として
徹底的に打ちのめされた1年でした。
私たちも見習わなければいけないですよね。
画像は70年代に発売して、
スズキという会社と、
「軽自動車」の地位を不動にした
「アルト」という車。
なんでも今年は
「歴史遺産車」に認定されたそうですが、
娘婿から社長になった鈴木さんは、
この車を45万円という
破格の値段で発売したんですね。
結果、大ヒットし、
「軽自動車」という新しい市場が
世の中に誕生したわけです。
物価高で、車が売れない。
でも、生活必需品として絶対に必要な車はある。
そのニーズに大きく応えられるところは、
競争に負けることはありませんよね。
その価格を実現するために、
トップダウン・イズ・コストダウンという掛け声で、
鈴木社長は「コストの削減」を
1円とか10円レベルで徹底したとのこと。
それこそ工場も1つひとつ。
ヒモ付きの蛍光灯にして消せるようにしたり、
ベルトコンベアを動かさずに
傾けて上から下に滑っていくようにしたり……と、
かなり「せこい」レベルでコストを抑えたとか。
実際の効果よりも、それだけ徹底する姿勢が、
業界を変えるイノベーションを実現させたんですね。
ご存知の通り、ホンダと日産の提携なども、
日本の自動車業界は、1つの過渡期を迎えています。
というよりも、日本全体の企業が、
今は「新しい方向性」を
模索しなければならない時期。
出版業界にいる私も例外ではありません。
鈴木元会長の言葉は、ぜひ参考にしたいですね。