その歌は優しく人を“殺して”いく

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アメリカの歌手、ロバータ・フラックさんが
お亡くなりになったとのこと。
88歳、「ルー・ゲーリック病」と呼ばれる
ALS(筋萎縮性側索硬化症)が原因となったそうです。

ロバータさんは「やさしく歌って」
(Killing Me Softly With His Song)などの
ヒット曲で知られる方。
といって、私世代でも「懐かしい」という人が
ほとんどでしょうし、
若い世代は、ほぼ知らないでしょう。

じつは2006年に
「ロバータ・フラック音楽学校」を設立し、
2010年には財団を設立、
主にニューヨークの貧しい子供達に
音楽教育を提供する
福祉教育の活動に専念されていたんですね。

もともとロバータさんは、
10代でピアノコンクールに入賞し、
ハーバードへ奨学金で招かれた
「天才黒人ピアニスト」の候補生だったそうなんです。

ところが大学院へ進んだ段階で、
彼女の父親が死去し、
家計を支えなければならなくなります。

大学を辞め、ナイトクラブで歌いながら、
彼女はようやく30代になって
デビューを果たすことになった。
それだけに若い音楽家を支える活動をすることが、
将来の夢になったのでしょう。

ところで有名な
『やさしく歌って』の歌詞、
「彼の歌で私は悩殺される……」なんて
乙女心っぽい日本語が出ていますが、
訳し方を変えると
実はまったく異なる感じになります。

「奴が奏でる演奏は、
なぜか俺の心をかき乱す。
奴の言葉は、
まるで俺の人生を歌っているようだ。
奴の歌が、ゆっくり俺を殺していく。
奴の歌が、ゆっくり俺を殺していく。
俺の人生は、
すっかり奴の歌に飲み込まれてしまう……」

今でもウクライナなどでは、
大勢の歌手が平和をうったえて、
演奏し、歌うことを続けています。

そんなふうに音楽の力で、
人の心を変える可能性を
この曲は示唆しているようにも聞こえますよね。

『やさしく歌って』は、
大勢の人がカバーしているので、
おそらく「聞いたことがあるな」という方が
ほとんどでしょう。
ぜひYouTubeなどで探してみてくださいませ。

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