プーチンさんを逮捕できるのか?

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画像は私が訳した『貞観政要』ですが、
「プーチンさんに読ませたい本No.1」
なんていうキャッチコピーが立っていました。

そのプーチンさんに、なんと逮捕状が出たとか?
「本を読んでいれば、そんなことには
ならなかったのになあ……」なんて思いつつも、
当人はウクライナの占領地に遊びに行ったり、
中国のお友達を招いたりしています。

それ、逮捕なんてできるの?
「できないでしょう」というのが答えなんですが、
これ逮捕状を出したのは、
国際刑事裁判所(ICC)という機関で、
オランダのハーグに本部があるとのこと。
国連にも属していない、独自な国際機関なんですね。

その設立、実は日本とも
関係がないわけではありません。

というのも第二次世界大戦が終わったあと、
ドイツはニュールンベルグで、日本は東京で、
戦争犯罪が裁かれることになりますが、
いずれも戦争の勝者で立ち上げた裁判です。

「それで、公平な裁判が行なわれるのか?」
という議論は、ずっとあったわけです。

そんな議論の果てに、21世紀なって
この国際刑事裁判所ができたのですが、
ロシアや中国だけでなく、
実はアメリカだって正式に批准しているわけではない。

だから「手足をもがれた巨人」なんて言われ、
「裁判そのものがエンターテイメントに過ぎない」
とは、よく言われていることなんですね。

じつは逮捕がまったくできないかといえば、
そんなことはありません。
実際、かつてのアフリカの国では、
送られた捜査官によって大統領が逮捕されもしました。

たとえばアフリカの小さな国では、
隣の大国でテロリストのクーデターが起こり、
自分たちの宗教的な理屈で、
法の下において「●●族は殺します」とか、
「〇〇教徒とは追放します」とか、
「女性は奴隷にします」なんてことを
いきなり始めるところが出てくるわけです。

これ「その国の事情だから」とか、
「彼らにも言い分があるから」なんて言ってたら、
近隣の国はたまったものじゃありません。

だから「長いものには巻かれろ」とか、
「強い国には逆らえないよね」ではない。
「人を差別することはいけないことだよね」とか、
「無抵抗の人を殺すのは悪いことだよね」とか。
人類が享受できる最低限のルールを決め、
「お前は違反した」と誰かが裁定する仕組みは
作りましょう……と、そういうことなわけです。

だから「意味がない」とか、
「裁定が一方的だ」と言うことにも意味がない。
自分たちが正統とする主張があるなら、
堂々とそこで言うしかない。

21世紀以降、世界は冷戦下の
「長いものに巻かれろ」ではなく、
経済力や武力に左右されない公平な世の中を理想に掲げ、
少しでも完全な平和に向けて前進していこう
……という方向にシフトしているわけです。
「できる・できない」ではなく。

ですから損得の話をするならば、
その「多数派」の方向に属したほうが
圧倒的に味方は多くなります。
そういうことの一貫しとして
逮捕状などは考えるべきなのでしょうね。

多分これってその昔、
グローバル世界を目指した皇帝
太宗さんも理想にしたことなんだろうなあ。

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