栄光を偲んであげたい道端の雑草
- 2023/7/8
- できる人研究所
こちら、近所の廃校になっている校舎の周りに、
大量の花をつけていました。
「ヒルガオ」の花ですね。
この時期、よく見かけます。
「アサガオ」に似た花ですが、
昼間から夕方までずっと花を咲かせています。
基本、雑草ですから、伸ばしたい放題。
虫食いも結構目立っていましたね。
アサガオは今でも、育てている方も多いでしょう。
私も小学校の時に育てましたが、
千利休などもこの花を愛しました。
一方でヒルガオは、単なる雑草です。
ここに生えている大量の花も、
いずれは刈り取られて処分されてしまうでしょう。
古い校舎の解体工事も始まりそうですしね。
けれども、じつは古代からずっと日本人に
愛されてきたのは、
「ヒルガオ」のほうなんだそうです。
なんせ昔から自生していた花ですから、
美しい花といえば、このヒルガオを指していた。
というのも、この「カオ=容」という言葉が、
「美しい」という意味だったそうですね。
『万葉集』の中で「カオバナ=容花」と
歌われているのは、
この「ヒルガオ」のことだったようです。
しかもヒルガオは、食用にもでき、
薬効もあるということで、重用されてきました。
ところが奈良時代、遣唐使が、
唐の宮廷で育てられていた
1つの花をお土産に持ち込みます。
その花はヒルガオに似ているけれど、
様々な色の花が改良され、
朝の一瞬しか咲かない、非常に繊細な花。
これが「アサガオ」となり、
いままでの「カオバナ」は「ヒルガオ」となった。
そして世話が必要なアサガオが可愛がられる一方で、
ヒルガオはだんだんと
雑草扱いされていくようになっていったんですね。
まあ、人間の都合で弄ばれてしまった花。
せめて見かけたら、過去の栄光をちゃんと
讃えてあげていいのかもしれません。
ちなみにフランスでヒルガオは、
「情事」を象徴する官能的な花として
知られているそうです。
切っても切れない、
そのしたたかさのようなものが
連想に結びついたそうですね。