謎を謎のままでは終わらせない!?

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今日は久々、古典の紹介ですが、
岩波文庫から出ている
『遠野物語 山の人生』というもの。

「日本民俗学」を確立した研究者、
柳田國男さんの本ですね。

じつは先日、掛川の図書館で、
柳田さんが作成していた
膨大な「調査カード」が見つかった……という
ニュースがありました。

民俗学の語彙集を作るための資料だったようですが、
パソコンがなかった時代のこと。
かの有名な先生も、
地味な作業をひたすら続けることで
頭をひらめかせていたのだなと、感動しました。

日々、書くことが、頭を活性化させるんですね。
やはり!

ともあれ、『遠野物語』と『山の人生』。
「遠野物語」のほうは有名ですよね。
岩手県は遠野に伝わる民間伝承を集めた本。
詩的な言葉で民話が語られる
文学作品と認識されています。

でも、今回紹介したいのは、
「山の人生」のほう。

こちらも「鬼子」や「天狗」、
「神隠し」や「山姥」、狐や狸といった
山の伝承を集めているのですが、
『遠野物語』とは打って変わり、
推理小説のように
「山の存在していた真実」を考察しています。

その中にあるのは、
決して神秘的な話ばかりではありません。

差別され、山奥に追い込まれた人々の暮らしや、
人減らしのために、
山へ捨てられた人たちの悲劇。
あるいは集落の生活に馴染めず、
山へ遁世していった人々の人生……。

その昔の日本には、そんなふうに
「山に生きる独自文化」が存在していたわけです。
そして山の人々と集落の人々が接触することは、
たびたび悲劇を起こしてきました。

今は「山」と「村」の境がなくなることで
別の環境的な悲劇も起こっていますが、
この国の文化について、まだまだ私たちには、
知っておくべきことがたくさんあるのかもしれません。

実は国連の委員になったりして、
国際的でもあった柳田國男さん。
「武士道」の新渡戸さんとは盟友でもありましたので、
ぜひ一読をお勧めします!!

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