「神明は、ただ平素の鍛錬に力をこめ、
戦わずしてすでに勝てる者に勝利の栄冠を授くると同時に、
一勝に満足して治平に安ずる者より
すぐに之を奪う]
こちらは明治日本の連合艦隊を指揮していた
東郷平八郎大将の言葉。
5月27日は、その東郷大将が率いる海軍が
日露戦争において、
当時、最強とも言われたロシアのバルチック艦隊を
「日本海海線」で破った日なのだそう。
戦前は「海軍記念日」にもなっていたそうですね。
今のウクライナと同じように、
開戦前はヨーロッパの列強であるロシアの前に、
少し前は刀をぶら下げていた“野蛮国・日本”など
粉砕されると思われています。
ところが日本はとうとう、
ヨーロッパの強国まで破ってしまった。
とはいえギリギリの勝利と得られなかった成果は、
ますます日本を軍国化させていくことにも
なっていきました。
東郷さんに言わせれば、
連合艦隊が勝ったのは、
「やるべきこと」をコツコツと続けていたからに
過ぎません。
部下たちと「戦い方」を毎日のように研究し、
訓練もずっと繰り返してきた。
いざ、という場合も部下たちとの
コミュニケーションを重視し、
戦争が始まったら、現場の判断に任せて
最善の策を促していったわけです。
成果を深追いすることもせず、
じつは捕虜の正当な扱いに関しても
東郷大将は、世界に賞賛されたりもしていたんですね。
だからこそ彼が乗っていた「戦艦・三笠」は、
日本の敵だったアメリカによって保存され、
現在も横須賀の海に浮かんでいるわけです。
画像はその、砲台から撮ったものですね。
日本はそんな世界に誇る、
努力の成果を完全に忘れてしまった。
東郷平八郎さんは嫌がったようですが、
彼を神格化することで、
「絶対、戦になれば勝つ」という
根拠なき自信を積み上げてしまったんですね。
ビジネスにしろ、スポーツにしろ、
勉強にしろ、あらゆることはおそらく変わらない。
長い目で見れば、やるべき努力を続けた人が、
結局は合理的な理由で、
勝利する可能性が高くなるわけです。
私たちはそれを忘れてはいけませんね。