フー・ウィル・ハブ・ウォン

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「彼女は兵士が来る前の
1969年以前のことを夢見ていた。
そのころは人生は安いパンとワインで満たされ、
人の手を借りることを恥ともしなかった」

「彼女はやがて、近くに落ちたロケット弾の爆音で
目を覚ますことになる。
そして死の恐怖と戦うためには、
昔の夢にしがみつくしかないことを知るのだ」

最近、しょっちゅうニュースで聞く
「レバノン」ですが、
見るたびに頭の中で繰り返されるフレーズがあります。

そういえば「レバノーン」と、
繰り返し歌う曲が、昔にあったよね……!

誰か共感してくれる人はいるのか?
調べたら、ちゃんとわかりました。
イギリスの「ヒューマン・リーグ」という
ロックバンドが歌っていた
「The Lebanon」という曲。
聞きたい方は→こちらですね。

ヒットしたのは1984年のことだそうですが、
ここでいう「兵士」というのは、
レバノン南部に侵攻してきたイスラエル軍のこと。

お隣のイスラエルを追い出された
パレスチナ難民が流入することにより、
レバノンでは宗教的な対立が激化。

75年からレバノン内戦が始まりますが、
イスラエルはこの内戦に介入。
この軍勢に対抗するため、
イランの急進勢力の応援を受けて
レバノンに誕生した過激派組織が
「ヒズボラ」と呼ばれる勢力だったわけです。

それが80年代のことで、やがて
「レバノン戦争」と呼ばれた長い戦争が始まります。

当時、私は高校生だったと思いますが、
イギリスのロックバンドが歌にした悲劇と、
まあ同じことの繰り返しが、
現在も起こっているわけですね。

気になるのは、歌の中で彼女が夢見た
「1969年以前」のこと。

画像は首都ベイルートのリアル映像を
YouTubeから拾ったものですが、
真っ先に気付くのは中央の十字架。
つまり、キリスト教の教会ですよね。

じつは70年代からの混乱が始まるまで、
この地域にはイスラム教徒とキリスト教徒が
自由に共存し、
「中東のパリ」なんて呼ばれていたとか。

古代史を見ても、
紀元前のころはここに「フェニキア人」という
商業民族が住み、
民族差や宗教差を取り払った繁栄をしていました。

時代はどんどん逆光し、
人々の生活はどんどん苦しくなっていったんですね。

そう、戦争に勝利者なんて、どこにもいない。
早くこの痛ましい状態がおさまり、
平穏になってほしものです。

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