「ドーナツを見るとき、私たちは穴でなく、
ドーナツそのものを見る必要がある」
こちらの言葉は、映画監督の
デビット・リンチさんの言葉。
昨年から肺気腫を患い、
闘病生活をされていたそうですが、
16日に78歳でお亡くなりになったそうです。
リンチ監督といえば、私世代では
テレビで大ヒットした
『ツインピークス』がありました。
田舎町で起こった殺人事件が、
だんだんとミステリーから
スケールの大きなホラーのようになっていく
不可解な物語だったと思います。
カルトムービーの鬼才とされていた方で、
不条理な世界を描くことは、
つねに賛否両論の評価を生んできました。
でも、そんなふうに堂々と
人が批判する作品を創造できる人は、
少なくなったと思います。
大きな喪失ですよね。
画像は、中学生の頃だったか、
「すごい映画だな」と私も感動した
『エレファントマン』です。
リンチ監督の出世作になりました。
実在したジョン・メリックという人物の
人生を描いた映画ですが、
19世紀に「プロテウス症候群」という病気で
奇形児として生まれ、
見世物小屋に売られていた青年の話。
やがて外科医と出会い、
人の心を知る中で、
自分に向けられる善意と悪意の違いにも
気づいていくようになる。
最後は「普通の人間のように、
真っ直ぐな姿勢で眠ること」に挑戦し、
呼吸困難で亡くなってしまいます。
彼は果たして、
人を知らずにいたほうがよかったのか。
それとも最後には人と触れ合う喜びを知って、
幸福だったのか。
私たちは物事を一側面だけでなく、
全体像でとらえる必要があるわけですね。
差別を描いたということで
賛否両論ある映画ですが、
ぜひ機会があれば観てほしい作品です。